どこまでも優しい映画「フィールド・オブ・ドリームス」

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●あらすじ:
トウモロコシ作りを生業とするレイ・キンセラは、ある日自分の畑で「それを作れば彼はやって来る」という不思議な声を聴く。ひっ迫する家計を顧みず、その「お告げ」に従いレイは畑をつぶして野球場を作る。すると、50年も前に八百長疑惑で球界を追われ失意のうちに死んだ「靴なし」ジョー・ジャクソンが現れる。ジョーに続いてトウモロコシの間から続々と現れる往年の選手たち。しかし今度は「彼の痛みを癒せ」との「お告げ」が。レイは「彼」とは隠遁している作家テレンス・マンだと気づき、遠くボストンに住むマンのところへ向かう…。

(C)Universal City Studios LLC

●感想:
家族と野球を愛するすべての人々へ贈る映画、とでも言おうか。
レイには、成績のパッとしなかった元野球選手の父と青春時代に仲たがいし、再会したのは葬儀の時だったという苦い思い出があった。自分の畑を野球場にし、「靴なし」ジョー・ジャクソンを呼び、テレンス・マンをはるばる招き入れ、最後に若かった頃の父と出会うというストーリーは、とても幻想的で心が温まる。
レイが父に言う「父さん、キャッチボールしないか?」には、涙腺の弱い人は泣けてしまうことだろう。
他にも私が気に入ったのは、野球場の大スクリーンに出たメッセージを見たのは俺だけだったとレイが思いテレンス・マンと別れた、と思いきやマンが道をふさぎメッセージの言葉を一言叫ぶところや、1回だけ試合に出てその後球界を断念して医師として働き70年代に亡くなったはずの紳士~往年の”ムーンライト”~が青年の姿でレイの車をヒッチハイクするところ、そして彼がレイの娘カリンの急病を治すため元の老人の姿に戻ることをいとわずグラウンドの線を踏み越えるところ、などであった。
妻アニーも、反戦運動とウッドストック音楽祭の60年代を経験した陽気で自由な女性で、マンの著書を禁書としようとする婦人にぐうの音を言わせてはしゃいだり、自宅と農地が差し押さえされる危機にあってもレイが旅に出るのを後押しする。
そしてカリンは「畑を売ることはないわ、大勢の人たちがここに来るわ」と予言めいたことを言い、ラストシーンではその通り、宵闇の中野球場を目指しやって来る車のヘッドライトの行列が輝くのである。
人生の中では後悔することもやり残したこともあるが、野球場を作るとまではいかずとも、まだ残りの時間でやれることがあるに違いない、そんな思いを抱かせる映画だった。

なお、この映画で作られたトウモロコシ畑跡の野球場はそのまま現在に至るまで残されており、映画ファンが集まって野球をしているとのことである。

この映画は第14回(1991年)日本アカデミー賞外国作品賞を受賞し、第62回(1990年)アカデミー賞作品賞・脚色賞・作曲賞にそれぞれノミネートされた。

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