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7月13日14:35~、サロンシネマ2にて鑑賞。
長野県にあるとある村。そこに住む人たちはきれいな水場を大切にして生きていた。
しかし、東京の芸能事務所がコロナの補助金を目当てに「グランピング場」(キャンプ場の大きなもののようだ)を建設することを計画。水の汚染は避けられない。
事務所から説明会のため訪れた2人と、住民との間におだやかな、しかし深刻な対立構造が発生する。
村で長く生きてきた男性と、その娘、そして事務所の2人は、やがて…。
「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督と、同作で音楽を担当した石橋英子氏とが作った、なかば即興的なイメージを与える、不思議な映画だった。
あのエンディングをどう解釈したらいいのか…。分からない。
ただ、自然の中に置かれた人間と、都会の欲望にまみれた人間との違い、というのは感じられた。
主役を演じた大美賀均は、本来はスタッフとして本作に参加していたそうで、それにしては役者としての存在感がやたらと大きく、重かった。その口は余計なことを言わず、大事なことのみがボソリと出てくる。大きな野生のクマのような印象だった。
娘役の西川玲からは、それと対照的にバンビのようなイメージを抱いた。
芸能事務所の2人を演じた、小坂竜士と渋谷采郁の、「現場の人がそういうのならあっち側に行ってしまおうか、会社なんて辞めちゃおうか」といった態度の変化が、なんともリアルだった。特に渋谷(黛役)の淡々とした、役者らしからぬ演技に、逆に感情移入できた。
それにしても、繰り返すが、不思議な作品だ。
音楽は、弦楽四重奏で、チェロの進行が常に不安をあおる。そして突然断絶される。非常に効果的に使われていて、印象に残った。